異能vation

▶2024年度のジェネレーションアワードに関する情報はこちら

国立大学法人 香川大学

坂井 聡

異能vationネットワーク参加への思い

小学校に在籍するユニークな児童は本校で10%程度存在する。児童の中には、対人関係などに課題を持ったり、学習方法に戸惑ったりする児童もいる。このような児童に、社会参加の機会や社会から必要とされていると感じる機会を設け、そのユニークさを生かすことができるようにしていくこと、これが本ネットワークの目的である。
本ネットワークの参加対象者は、小学校の児童だけでなく、中学生や高校生、また学校の先生や保護者、地域の人々、様々な学部の大学生、更には障害者の方といった様々な分野とする。このように多種多様な分野の人が集まり、共同のグループワークを実施して、「ユニークさを生かす」ために必要な社会の仕組みや解決すべきアプローチ等、将来に向けた多角的な取り組みを創造させるものである。
本ネットワークは、従来は見過ごされていた「ユニークな児童」を問題解決グループに加える事で、従来の一般的な視点とは異なった新しい視点からの問題解決を目指すものである。これから社会に参加し社会を変えていくためには、その原動力となる児童が自分のことを肯定的に理解し、肯定的な理解を進めるための方略を考える際の資料とすることも本ネットワークの目的になる。

坂井 聡

国立大学法人 香川大学

<ネットワークの特徴>

これまで障害について理解する車いす体験やアイマスクをしての視覚障害者の歩行体験等は、疑似環境も構築しやすく、健常者でもイメージし易いので広く実施されていた。しかし、15人に1人といわれる発達障害者がどのように感じているのかは、健常者にはイメージしにくく、疑似体験がほとんど行われていなかった。そこで本ネットワークでは、アミューズメントの分野で広く一般的知られてきたVR(virtual reality)を用いた疑似的な自閉症者の感覚過敏体験を行った。これは実際に自閉症者と関わる人たちだけでなく、一般のより多くの人に自閉症者がどのような場面で苦しんでいるか、また周囲の人のどのような助けが有効であるかという障害者理解を深めるきっかけを与えた。
本ネットワークでは、英国王立自閉症協会が作成したコンテンツを用いて自閉症VR体験を実施すると同時に、障害者のコミュニケーション支援専門家の坂井教授が障害VR体験を通じた自閉症のある人の理解を深める効果的な方法を提示した。これが、単なるVR体験イベントではなく、多くの人々の周囲の障害感を変え、SDGsが掲げる「誰一人取り残さない」社会の実現を目指す一助となった。

<開催所在地>

問い合わせ 
Tel:090-7513-7313 miya@ed.kagawa-u.ac.jp
宮崎 英一